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会社員コンサルとフリーコンサル、手取りで比較してみた

コンサルからの独立12分で読める
Kay
KayBig4出身のAI・ITコンサルタント
会社員コンサルとフリーコンサル、手取りで比較してみた
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目次

「手取りいくら増えるの?」が最初に知りたかった

フリーランスコンサルに興味を持ったとき、僕が一番知りたかったのは「結局、手取りはどうなるの?」だった。

Big4時代の年収は約1,000万円。額面だけ見れば悪くない。でも毎月の手取りを見ると、税金と社会保険でごっそり引かれて「あれ、これだけ?」という感覚が常にあった。フリーランスになれば単価が上がるとは聞くけど、社会保険も税金も自分で払う。本当に手取りは増えるのか。

この記事では、会社員コンサルとフリーランスコンサルの手取りを、年収帯別に具体的な数字で比較する。僕自身の実体験と、独立した元同僚たちのリアルな数字をベースにしている。

比較の前提条件を揃える

手取り比較をするには、前提条件を揃えないと意味がない。以下の条件で統一する。

会社員コンサルの前提

  • 東京都在住、40歳未満、扶養家族なし
  • 賞与は年2回(合計で月給の4ヶ月分)
  • 退職金制度あり(ここでは年額換算せず別途言及)
  • 通勤手当・住宅手当は含めない
  • 企業型確定拠出年金なし

フリーランスコンサルの前提

  • 個人事業主(青色申告65万円控除適用)
  • 稼働率85%(年間約10.2ヶ月稼働)
  • 経費率15%(交通費、通信費、PC、書籍、コワーキングなど)
  • 小規模企業共済・iDeCo未加入(後述で加入時の効果を解説)
  • 国民健康保険+国民年金

モデルケース3パターンで徹底比較

ここからが本題。年収700万円・1,000万円・1,300万円の3パターンで、会社員とフリーランスの手取りを比較する。

ケース1:会社員年収700万円 vs フリー月単価120万円

会社員(年収700万円)の手取り

項目 金額
額面年収 700万円
所得税 約31万円
住民税 約36万円
社会保険料 約105万円
手取り 約528万円

フリーランス(月単価120万円)の手取り

項目 金額
年間売上(120万×10.2ヶ月) 1,224万円
経費(15%) ▲184万円
青色申告控除 ▲65万円
所得税 約105万円
住民税 約83万円
国民健康保険 約82万円
国民年金 約20万円
手取り 約685万円

差額は約157万円。月単価120万円で稼働率85%なら、年収700万円の会社員より手取りは大幅に上回る。ただしこの差額には「退職金なし」「有給なし」のリスクが含まれていない点に注意が必要だ。

ケース2:会社員年収1,000万円 vs フリー月単価150万円

会社員(年収1,000万円)の手取り

項目 金額
額面年収 1,000万円
所得税 約64万円
住民税 約58万円
社会保険料 約140万円
手取り 約738万円

フリーランス(月単価150万円)の手取り

項目 金額
年間売上(150万×10.2ヶ月) 1,530万円
経費(15%) ▲230万円
青色申告控除 ▲65万円
所得税 約152万円
住民税 約109万円
国民健康保険 約89万円(上限あり)
国民年金 約20万円
手取り 約865万円

差額は約127万円。僕自身がまさにこのゾーンで、会社員時代の年収約1,000万円からフリーランスに転身して、手取りベースで月10万円ほど増えた感覚だった。

ケース3:会社員年収1,300万円 vs フリー月単価200万円

会社員(年収1,300万円)の手取り

項目 金額
額面年収 1,300万円
所得税 約112万円
住民税 約84万円
社会保険料 約170万円
手取り 約934万円

フリーランス(月単価200万円)の手取り

項目 金額
年間売上(200万×10.2ヶ月) 2,040万円
経費(15%) ▲306万円
青色申告控除 ▲65万円
所得税 約250万円
住民税 約152万円
国民健康保険 約89万円(上限)
国民年金 約20万円
手取り 約1,158万円

差額は約224万円。単価が上がるほどフリーランスの手取り優位が広がる。これは国保に上限があるため、高所得帯では社会保険料率が実質的に下がるからだ。

フリーランスが有利になる損益分岐点

3パターンを見ると「フリーランスが常に有利」に見えるが、そうとは限らない。損益分岐点は以下の3つの変数で決まる。

単価・稼働率・経費率の判断マトリクス

フリーランスが会社員の手取りを上回る条件は「月単価 × 稼働率 × (1 - 経費率) > 会社員の額面年収 × 0.75」が目安になる。

具体的には以下の通りだ。

  • 単価100万円・稼働率80%・経費率20% → 年間売上960万円、経費後768万円。年収700万円の会社員とほぼ同等
  • 単価120万円・稼働率85%・経費率15% → 年間売上1,224万円、経費後1,040万円。年収700万円の会社員を大きく上回る
  • 単価150万円・稼働率70%・経費率20% → 年間売上1,260万円、経費後1,008万円。年収1,000万円の会社員とほぼ同等

稼働率が70%を切ると、手取りで会社員を下回るリスクが一気に高まる。案件の切れ目をどう管理するかが、フリーランスの手取りを左右する最大の要因だ。

損益分岐ラインの目安

年収1,000万円の会社員手取り(約738万円)を上回るには、月単価130万円・稼働率85%が最低ラインになる。これを下回ると、福利厚生や退職金を考慮した「実質手取り」では会社員の方が有利だ。

見落としがちなコスト — ダークサイドを直視する

フリーランスの手取りが多く見えるのは、会社員時代に「見えないコスト」を会社が負担していたからだ。ここを甘く見て独立すると痛い目に遭う。

国保の衝撃と退職金ゼロ

僕が独立して最初にショックを受けたのは国民健康保険の金額だ。会社員時代は健康保険料の半分を会社が負担してくれていた。フリーランスになると全額自己負担。年収1,000万円超だと年間約89万円(上限付近)になる。

退職金もゼロ。Big4の場合、勤続10年で数百万円の退職金が出るケースもある。フリーランスにはそれがない。

ボーナスなし・有給なし・税金の後払い地獄

会社員のボーナスは「年2回の大きな収入」として生活設計に組み込まれている。フリーランスにはそれがない。毎月の単価収入だけで回す必要がある。

有給休暇もない。体調を崩せば、その分だけ売上が消える。僕は独立2年目にインフルエンザで1週間ダウンしたが、その週の売上はゼロだった。

そして一番怖いのが税金の後払い。独立初年度は住民税と所得税の支払いタイミングがずれるため、翌年6月に前年分の住民税がまとめて請届く。僕の場合、約60万円の請求が来て冷や汗をかいた。

独立1年目は「翌年に来る税金」のために、売上の20〜25%を別口座にプールしておくことを強く勧める。これをやらないと、黒字なのに資金ショートする「フリーランスあるある」に陥る。

空白期間という見えないコスト

案件と案件の間に1〜2ヶ月の空白が生まれることがある。年間で1.5ヶ月の空白が生じれば、稼働率は87%から75%に落ちる。前述のシミュレーションが一気に崩れる数字だ。

元同僚のAさんは月単価140万円で好調だったが、案件終了後に3ヶ月間次の案件が決まらなかった。年間の稼働率は75%まで落ち、手取りベースでは会社員時代を下回った。

見落としがちなメリット — 手取りを底上げする技術

ダークサイドだけではフェアではない。フリーランスには会社員にない手取り改善の手段がある。

経費計上の力

自宅の家賃の一部(事業使用割合に応じて30〜50%)、通信費、PC・ガジェット、書籍、セミナー参加費。これらを経費にできることで課税所得が下がり、手取りが増える。

僕の場合、家賃の40%、通信費の80%、PC・書籍などで年間約180万円を経費計上している。これにより所得税・住民税が合計で約50万円ほど圧縮できている。

小規模企業共済とiDeCoの節税効果

小規模企業共済は月額最大7万円(年間84万円)を全額所得控除にできる。退職金の代わりになる制度で、フリーランスなら絶対に加入すべきだ。iDeCoも併用すれば、年間で最大約110万円の所得控除が得られる。

ケース2のフリーランス(月単価150万円)が小規模企業共済とiDeCoをフル活用した場合、手取りはさらに約30万円改善し、年間約895万円になる。

法人化オプション

年間売上が1,000万円を超えたら法人化を検討する価値がある。法人化のメリットは3つ。

  1. 役員報酬の設定で給与所得控除が使え、所得税を圧縮できる
  2. 社会保険料の最適化。役員報酬を低めに設定すれば保険料を抑えられる
  3. 消費税の免税期間。法人設立から最大2年間、消費税が免除される

元同僚のBさんは月単価160万円で独立2年目に法人化した。役員報酬を月額60万円に設定し、残りを法人に留保する形にしたところ、個人事業主時代より手取りが年間約80万円改善したという。

元同僚たちの手取り変化パターン

僕の周りでフリーランスに転身した元Big4メンバーは5人いる。そのうち3人のパターンを紹介する。

パターン1:順調に手取り増(Cさん・元マネージャー)

会社員時代の年収1,200万円。月単価180万円でスタートし、稼働率90%をキープ。独立1年目から手取りで約200万円増。2年目に法人化し、さらに手取りを改善した。成功の要因は、退職前から複数のエージェントと関係を作り、案件の空白を最小化していたこと。

パターン2:トントン(Dさん・元シニアコンサルタント)

会社員時代の年収900万円。月単価130万円でスタートしたが、稼働率が75%に低迷。手取りベースでは会社員時代とほぼ同じ。「自由は手に入ったが、経済的なメリットは正直感じない」と本人は言っている。

パターン3:手取り減(Eさん・元コンサルタント)

会社員時代の年収750万円。月単価100万円でスタートしたが、専門領域が狭く案件が限られた。稼働率65%の月もあり、年間手取りは会社員時代を約80万円下回った。現在は会社員に戻ることを検討している。

フリーランス転身で手取りが増えるかどうかは、単価だけでなく「稼働率を80%以上に維持できるか」で決まる。案件獲得力がない状態で独立するのはリスクが高い。

3ヶ月アクションプラン — 手取りシミュレーションから始める

フリーランス転身を本気で検討するなら、以下の3ヶ月で意思決定の材料を揃えよう。

月1:自分の市場単価を確認する

まずは自分のスキルセットが市場でいくらの単価になるのかを調べる。方法は3つ。

  1. フリーコンサルタント.jpなどのマッチングサイトで、自分に近い経歴の案件単価を検索する
  2. すでにフリーランスになった知人に直接聞く
  3. エージェントに「まだ検討段階」と伝えた上で面談を受け、想定単価を聞く

この段階では転職や独立を決める必要はない。あくまで「自分の値段」を知ることが目的だ。

月2:手取りシミュレーションを作成する

市場単価がわかったら、この記事の比較表をベースに自分バージョンのシミュレーションを作る。

  • 想定単価 × 稼働率(保守的に80%) × 12ヶ月 = 年間売上
  • 年間売上から経費(15〜20%)を引く
  • 青色申告控除65万円を引く
  • 所得税・住民税・国保・国民年金を計算する
  • 現在の会社員手取りと比較する

保守的なシナリオ(稼働率75%)と楽観シナリオ(稼働率90%)の両方を作ることを勧める。

月3:法人化シミュレーションと資金計画

月2のシミュレーションでフリーランスの手取りが上回る結果が出たら、法人化した場合のシミュレーションも作る。あわせて、独立に必要な資金(生活防衛資金6ヶ月分+翌年の税金プール分)を計算する。

この3ヶ月で「数字の根拠を持った意思決定」ができる状態になる。感覚や憧れではなく、手取りベースの具体的な数字で判断してほしい。

まとめ — 手取りで語れないなら、まだ独立は早い

会社員とフリーランスの手取り比較で見えてくるのは、「フリーランスは常に得」ではなく「条件次第で大きく得にも損にもなる」という現実だ。

月単価120万円以上、稼働率80%以上を維持できる見込みがあるなら、多くのケースで会社員より手取りは増える。さらに小規模企業共済やiDeCo、法人化を組み合わせれば、その差はさらに広がる。

一方で、単価100万円以下や稼働率70%以下では、福利厚生や退職金を含めた「実質手取り」で会社員に負ける。独立の判断は「手取りの数字」で冷静にやるべきだ。

僕自身は独立して3年目。手取りは会社員時代より増えたが、それ以上に「自分の時間を自分でコントロールできる」ことの価値が大きいと感じている。ただ、経済的な裏付けがなければその自由も長続きしない。だからこそ、まずは手取りシミュレーションから始めてほしい。

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Kay

Kay

IT業界12年Big4コンサル出身日英バイリンガル

新卒でメガベンチャーに入社後、ITベンチャー、事業会社のシステム部門を経て、Big4コンサルファームでITコンサルタントとしてチームリーダーを務める。その後フリーランスとして独立し、現在はAI活用コンサルティング・ITコンサルティングを中心に活動。日英バイリンガル。