ポストコンサルの年収はどうなる?転職先別リアルデータ

目次
ポストコンサルの年収、結局どうなるのか
「コンサルを辞めたら年収は下がるのか」。
辞めるか迷っている人が最も気にするポイントだと思う。僕もBig4を辞める前、深夜に何度も検索した。でも出てくるのはエージェントの宣伝記事ばかりで、リアルな数字がほとんどなかった。
だからこの記事では、僕自身の年収推移と同僚約20人のデータをもとに、転職先別の年収変動を包み隠さず書く。結論を先に言うと、「転職先の選び方」と「交渉の仕方」次第で年収は上がりも下がりもする。相場を知った上で動くことが大事だ。
僕のBig4→フリーランスの年収推移【額面・手取り両方】
まず僕自身の数字を出す。IT業界12年のキャリアのうち、Big4コンサルには約2年半在籍し、その後フリーランスに転身して約3年目になる。
| 時期 | 額面年収 | 手取り年収(概算) |
|---|---|---|
| Big4入社時(シニアコンサルタント) | 約850万円 | 約620万円 |
| Big4退職時(チームリーダー) | 約950万円 | 約690万円 |
| フリーランス1年目 | 約1,200万円 | 約780万円 |
| フリーランス2年目 | 約1,550万円 | 約1,000万円 |
| フリーランス3年目(現在) | 約1,750万円ペース | 約1,100万円ペース |
額面だけ見ると「フリーランス最高じゃん」と思うかもしれない。でも手取りで比較すると、見え方が変わる。フリーランスは社会保険料、所得税、住民税、消費税を全部自分で払う。額面1,200万円でも手取りは780万円程度だ。Big4時代の手取り690万円との差は実質90万円ほどしかない。
しかもフリーランス1年目は収入ゼロの月もあった。看板のない自分と向き合った話に書いた通り、独立直後1ヶ月目は売上0円だ。年間で均すと1,200万円でも月次の波は激しい。
転職先別の年収変動マップ — 6パターン徹底比較
同僚約20人のデータと転職エージェントから聞いた相場をもとに、6パターンの年収変動をまとめた。ベースは「Big4のシニアコンサルタント〜マネージャー手前」で額面800万〜1,000万円の層だ。
パターン1:他のコンサルファーム(年収UP傾向)
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| 年収変動 | +50万〜+200万円 |
| 典型的な転職先 | 外資戦略ファーム、総合系ファーム(別法人)、ブティックファーム |
| メリット | 年収UP、スキルセットの転用が容易 |
| デメリット | 働き方はほぼ変わらない |
同僚のうち4人が他ファームへ転職し、全員が年収アップした。ファーム間転職は「即戦力」扱いで年収交渉がしやすい。Big4から外資戦略系に行った1人は200万円アップだった。
ただし「コンサルの働き方が嫌で辞めた人」がこの選択肢を取ると、同じ苦しみの繰り返しだ。同僚の1人は「年収100万上がったけど、時給は変わっていない」と苦笑いしていた。
パターン2:事業会社の経営企画・DX推進(年収KEEP〜微DOWN)
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| 年収変動 | −100万〜+50万円 |
| 典型的な転職先 | 大手メーカー、金融機関、IT企業の経営企画部・DX推進室 |
| メリット | WLB改善、意思決定に関われる |
| デメリット | 年収は微減の可能性、スピード感の違いにストレス |
最も多いパターンで、20人中7人がこの道を選んだ。年収は平均50万〜80万円ダウンだが、残業は月60時間→月20時間台に激減。時給換算では明らかにアップだ。
元同僚は大手メーカーの経営企画で年収900万→820万円に下がったが、「毎日18時に帰れて土日も休めるから、年80万円分以上の価値がある」と言っていた。WLB重視ならこのルートは手堅い。
パターン3:社内SE・IT企画(年収DOWN傾向)
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| 年収変動 | −100万〜−200万円 |
| 典型的な転職先 | 大手企業の情報システム部門、社内SEポジション |
| メリット | 安定性抜群、残業少ない、長期的なキャリアを築きやすい |
| デメリット | 年収ダウンが大きい |
僕はBig4に入る前、事業会社で社内SEをやっていた。だからこのルートのリアルはよくわかる。結論から言うと、年収は確実に下がる。ただし、安定性は段違いだ。
同僚の2人がこのルートを選んだ。1人は年収950万→750万円で200万円ダウン。もう1人は年収850万→730万円で120万円ダウン。数字だけ見ると大きいが、2人とも「もう深夜のSlack通知に怯えなくていい」と口を揃えている。
社内SEは「コンサルで疲弊したけど、IT領域からは離れたくない」という人にはベストな選択肢だと思う。特に家族がいる人には、安定した勤務時間の価値は大きい。
パターン4:PEファンド・投資ファーム(年収大幅UP)
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| 年収変動 | +200万〜+500万円(+キャリー) |
| 典型的な転職先 | PEファンド、VC、投資銀行 |
| メリット | 年収が大幅に上がる、経営レベルの経験 |
| デメリット | 激務、枠が極めて少ない、戦略ファーム出身が有利 |
僕の周囲でこのルートに行った人は1人だけだ。Big4のIT系コンサルからPEファンドへの転職はハードルが高く、戦略ファーム出身かMBAホルダーが有利な世界だ。
その1人は年収900万→1,350万円に上がったが、「Big4の激務がマシに思えるレベル」と言っていた。DDやバリュエーションの経験が前提になる。
パターン5:スタートアップ(年収DOWN、ただしアップサイドあり)
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| 年収変動 | −200万〜−400万円(+ストックオプション) |
| 典型的な転職先 | シリーズA〜B前後のスタートアップ(CxO・VP) |
| メリット | 裁量が大きい、経営に直接関われる、SOの上振れ可能性 |
| デメリット | 年収大幅ダウン、会社が潰れるリスク |
同僚3人がスタートアップに行き、うち2人は年収300万円以上ダウン。SO込みで「将来ペイする」という判断だが、ギャンブル要素は強い。
3人のうち1人は資金調達失敗で1年で別ファームに戻り、1人は「やりがいは最高だけど貯金が減り続けている」状態、残る1人は上場準備に入りSOの含み益が出始めている。明暗がくっきり分かれる世界だ。
パターン6:フリーランスコンサル(年収UP、ただし不安定)
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| 年収変動 | +200万〜+800万円(額面ベース) |
| 典型的な稼ぎ方 | エージェント経由の案件、前職ネットワーク |
| メリット | 年収UP、時間の自由度、場所の自由度 |
| デメリット | 不安定、福利厚生なし、営業力が必要 |
僕が選んだルートだ。フリーランスITコンサルの単価と年収に詳しく書いたが、額面はBig4時代の1.5〜2倍になる。ただし手取りベースでは差が縮まる。
同僚でフリーランスになったのは僕含め3人。全員が額面では年収アップだが、案件が途切れれば収入ゼロ。有給もボーナスも退職金もない。「安定」を手放す覚悟は必要だ。
辞めた同僚20人の年収変動サマリー
ここまでの個別パターンを踏まえて、同僚約20人の年収変動を集計した。
| 年収変動 | 人数 | 割合 | 主な転職先 |
|---|---|---|---|
| 大幅UP(+200万円以上) | 4人 | 20% | PEファンド、フリーランス、外資戦略ファーム |
| UP(+50万〜+200万円) | 5人 | 25% | 他ファーム、フリーランス |
| KEEP(±50万円) | 5人 | 25% | 事業会社(経営企画・DX) |
| DOWN(−50万〜−200万円) | 4人 | 20% | 社内SE、事業会社(一般管理職) |
| 大幅DOWN(−200万円以上) | 2人 | 10% | スタートアップ |
約45%が年収アップ、約25%が現状維持、約30%がダウン。「辞めたら年収が下がる」は必ずしも正しくない。ただしダウンした人の多くは「準備不足」か「年収より別の価値を優先した」ケースだった。
ダークサイド — 高年収だけど地獄、年収ダウンだけど幸福
年収データだけでは見えないリアルがある。ここは意図的に書いておきたい。
高年収だけど地獄のケース
元同僚のDさんは外資戦略ファームに転職し、年収が900万→1,200万円に跳ね上がった。数字だけ見れば「勝ち組」だ。でも半年後に会ったとき、明らかに顔色が悪かった。
「毎日3〜4時間しか寝てない」「土日も稼働が当たり前」「年収は上がったけど、使う時間も体力もない」。結局、Dさんは1年半で体調を崩して休職し、その後、事業会社に転職し直した。最終的な年収は850万円。Big4時代よりも下がっている。
高年収のオファーに飛びつく前に、面接で「平均残業時間」「休日出勤の頻度」「直近1年の離職率」を確認してほしい。
年収ダウンだけど幸福度UPのケース
逆のパターンもある。Eさんは大手メーカーの社内SEに転職し、年収は950万→740万円と210万円ダウンした。周りからは「もったいない」と言われていた。
でもEさんは、辞めてから半年後に「人生で一番幸せ」と言っていた。17時半に退社して、子どもの習い事の送り迎えができる。週末は家族で出かけられる。「年210万円で家族との時間を買ったと思えば安い」という言葉が印象的だった。
価値観別の判断マトリクス
年収とそれ以外の要素、どちらを優先するかで最適な転職先は変わる。
- 年収最優先 → 他ファーム or フリーランス。年収UPの確率が最も高いが、働き方はハードなまま
- WLB最優先 → 事業会社の経営企画 or 社内SE。年収は微減〜ダウンだが、時給換算では実質アップ
- やりがい最優先 → スタートアップ。年収は大幅ダウンだが、経営レベルの裁量とSOのアップサイドがある
- 安定性最優先 → 社内SE or 大手事業会社。年収ダウンは避けられないが、長期雇用と手厚い福利厚生が魅力
年収を下げずに転職する3つのテクニック
「年収は下げたくない」というのは当然の希望だ。僕自身の経験と、転職エージェントから聞いた話をもとに、年収を維持・アップさせるテクニックを3つ紹介する。
テクニック1:複数内定を取って年収交渉する
最も効果的なのが、複数の内定を同時に持つことだ。「他社からもオファーをいただいている」と言えるだけで、年収交渉の力学が変わる。
元同僚は3社同時に内定を取り、最初のオファー800万円が、他社の850万円を伝えた結果880万円まで上がった。
ポイントは嘘をつかないこと。具体的な数字を伝え、「御社が第一志望だが、年収面で折り合いをつけたい」と正直に言う。採用側もポストコンサル人材を逃したくないので、予算内で上げてくれることが多い。
テクニック2:エージェントと直接応募を使い分ける
エージェント経由のメリットは、年収交渉を代行してくれること。JACリクルートメントやビズリーチのようなハイクラス特化のサービスは、低すぎるオファーにプッシュバックしてくれる。
一方、直接応募は企業がエージェントフィー(年収の30〜35%)を払わずに済むため、その分を年収に上乗せできるケースがある。特にスタートアップは採用コストに敏感なので、直接応募の方が交渉しやすい。
僕のおすすめは「本命はエージェント経由、交渉カード用は直接応募」の使い分けだ。
テクニック3:年収の「内訳」に注目する
額面年収が同じでも、内訳次第で実質年収は大きく変わる。
- 基本給の割合:賞与比率が高い企業は、業績が悪い年に年収が大幅ダウンするリスクがある
- みなし残業の時間数:「年収900万円(月45時間のみなし残業込み)」より「年収850万円(みなし残業なし)」の方が実質的に高い可能性がある
- 退職金・企業年金:コンサルは退職金が薄いが、大手事業会社は手厚い。長期で数百万円の差になる
- 福利厚生の経済的価値:住宅補助や家族手当など、年収外で年間50万〜100万円相当の価値がある企業もある
3ヶ月アクションプラン — 年収を最大化する転職準備
最後に、ポストコンサルとして年収を最大化しながら転職するための3ヶ月プランを提示する。
月1:希望年収の決定とスキルの棚卸し
最初の1ヶ月は「自分の値段」を決めることに使う。
- 希望年収の下限を決める:「最低でもこの金額以下では転職しない」というラインを設定する。コンサル時代の年収の90%が一つの目安だ
- スキルの棚卸し:プロジェクト単位で「成果」「使ったスキル」「業界知識」を整理する。年収交渉で使う材料になる
- 市場相場のリサーチ:転職サイトで同等ポジションの年収レンジを確認する。自分の希望年収が相場から外れていないかチェック
月2:エージェント3社に登録し、オファー水準を確認
2ヶ月目は外部の目線を入れる。
- 転職エージェントに最低3社登録:ハイクラス向けのビズリーチ、コンサル特化のJACリクルートメント、プラスもう1社の計3社以上が理想
- カジュアル面談を5社以上受ける:実際のオファー水準を肌感覚で掴む
- 希望年収を調整する:エージェントのフィードバックをもとに、月1で決めた希望年収を微調整する
月3:本格応募とオファー比較
3ヶ月目で結論を出す。
- 3〜5社に本格応募:面接を受けて、具体的なオファーを引き出す
- 複数オファーを比較する:年収だけでなく、残業時間、福利厚生、裁量の大きさ、成長機会を総合的に比較する
- 年収交渉を実行する:複数内定がある場合は、テクニック1で紹介した方法で年収を上げにいく。交渉しなければ上がらない。遠慮は不要だ
まとめ — 年収は「相場を知って交渉する」人が勝つ
ポストコンサルの年収は、転職先によって大きく変わる。でも、それ以上に差がつくのは「準備と交渉」をしたかどうかだ。
僕の同僚20人のデータを振り返ると、年収がアップした人に共通していたのは3つだ。
- 複数の選択肢を持っていた:1社だけに絞らず、複数の内定を取って交渉材料にしていた
- 自分のスキルを言語化できていた:「コンサルにいました」ではなく、具体的な成果を数字で語れた
- 年収以外の軸も持っていた:年収に固執しすぎず、WLBや裁量も含めた「総合的な報酬」で判断していた
逆に年収が大幅に下がった人は、準備不足のまま動いたケースがほとんどだった。
コンサルを辞めること自体は悪い選択ではない。3年以内に辞めるリアルにも書いた通り、Big4の3年以内離職率は50〜60%だ。問題は「どう辞めるか」だ。
年収を維持したいなら、最低3ヶ月の準備期間を取ってほしい。このプロセスを踏むだけで、年収の着地点は数十万〜百万円変わる。まずは「希望年収の下限を決める」から始めてみてほしい。
あなたの次の一歩は?
Kay
IT業界12年Big4コンサル出身日英バイリンガル新卒でメガベンチャーに入社後、ITベンチャー、事業会社のシステム部門を経て、Big4コンサルファームでITコンサルタントとしてチームリーダーを務める。その後フリーランスとして独立し、現在はAI活用コンサルティング・ITコンサルティングを中心に活動。日英バイリンガル。


