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事業会社とコンサルファームの両方を経験してわかった、それぞれのリアル

コンサルのリアル7分で読める
Kay
KayBig4出身のAI・ITコンサルタント
事業会社とコンサルファームの両方を経験してわかった、それぞれのリアル
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目次

事業会社とコンサル、どっちがいいのか問題

「事業会社とコンサル、結局どっちがいいんですか?」

転職相談でこの質問をもらうことが本当に多い。そして僕は毎回こう答える。「両方やったけど、正解はない。ただし、向き不向きは確実にある」と。

僕はメガベンチャーでマーケティングを約2.5年、ITベンチャーと飲食チェーンのシステム子会社で社内SE(社内のシステムエンジニア)を計2.5年ほど経験した後、Big4コンサルファームに転職した。コンサルでは約2.5年、ITコンサルタントとして年収700万円から1,000万円まで上がった。IT業界トータルで約12年になる。

この記事では、事業会社とコンサルの両方を経験した僕が感じた「それぞれのリアル」を正直に書く。どちらかを持ち上げるつもりはない。

事業会社のリアル — 「自分ごと」で仕事ができる

事業会社の社内SEとして現場の課題に向き合う日常

最大のメリット:結果が「自分の成果」になる

事業会社で一番よかったのは、自分が関わったシステムやプロジェクトの結果を最後まで見届けられることだ。

飲食チェーンのシステム子会社にいた時、店舗の発注システムを改修したことがある。導入後に現場のオペレーション工数が目に見えて減った。店長から直接「助かった」と言われた時の嬉しさは、コンサル時代には一度も味わえなかったものだ。

事業会社では、自分の仕事の影響範囲が明確で、成功も失敗も「自分ごと」として受け止められる。これは精神衛生上かなり大きい。

見落としがちなデメリット:成長の天井が来るのが早い

一方で、事業会社のデメリットも体感している。

同じ会社の同じシステムを相手にしていると、1〜2年で全体像が見えてしまう。キャッチアップが終わると、あとは運用と小さな改善の繰り返しだ。僕がITベンチャーや飲食システム子会社を比較的短期間で離れたのも、この「成長の天井」を感じたからだった。

事業会社の成長スピードは、会社の規模と事業フェーズに大きく依存する。急成長中の会社なら刺激は多いが、安定期の会社では同じ業務の繰り返しになりやすい。

また、年収レンジにも限界がある。社内SEとして働いていた時の年収は400万〜550万円程度。マネージャーにならない限り、700万円を超えるのは難しかった。

コンサルファームのリアル — 看板の力と引き換えに

Big4コンサルファームのプロジェクトルーム — 資料とミーティングの日々

最大のメリット:短期間でスキルが跳ね上がる

Big4に入って最初の半年で、事業会社5年分くらいの密度を経験した。これは大げさじゃない。

3ヶ月単位で異なる業界のクライアントと仕事をするから、キャッチアップ力が鍛えられる。構造化思考、資料作成、ファシリテーション、プロジェクトマネジメント。これらのスキルが、圧倒的なスピードで身につく環境だった。

年収も入社時の約700万円から2.5年で約1,000万円まで上がった。事業会社で同じ上がり幅を実現するには、5〜7年はかかるだろう。

見落としがちなデメリット:「お客さん」から抜け出せない

コンサルの最大の弱点は、どこまでいっても「外部の人間」だということだ。

僕は事業会社出身だったから余計に感じたのだが、コンサルがどれだけ立派な提案書を作っても、実行するのはクライアントだ。「この提案、現場のことわかってないな」と事業会社側で感じていたことを、今度は自分がやる側になっていた。

コンサルは「正しいこと」を言うのが仕事だが、事業会社は「正しいことを実行する」のが仕事だ。この違いは、両方を経験しないと本当の意味では理解できない。

さらに、コンサルを辞めたいと思った瞬間にも書いたが、業務がルーティン化するタイミングが来る。フレームワークに沿って資料を作り、レビューを受け、修正する。型が決まっているからこそ品質は安定するが、「僕じゃなくてもできる」と感じ始めたら、もう止まらない。

年収・働き方・成長 — 3軸で比較する

事業会社とコンサルの年収・労働時間・成長スピードの比較表

具体的に3つの軸で比較してみる。あくまで僕の実体験ベースだ。

1年収:事業会社(社内SE)は400万〜550万円、Big4コンサルは700万〜1,000万円。同じ年次なら200万〜400万円の差がある。
2労働時間:事業会社は月160〜180時間(残業少なめ)。コンサルは月200〜250時間(プロジェクト次第で変動が大きい)。
3スキルの成長速度:事業会社は1年目が急成長、2年目以降は緩やか。コンサルは2〜3年目まで急成長が続くが、その後はルーティン化のリスクがある。

年収だけ見ればコンサルの圧勝だ。ただし、時給換算するとその差は縮まる。事業会社で18時に帰宅できる日と、コンサルで23時までオフィスにいる日を比べれば、「本当に得しているのはどっちだ」と考えることもあった。

また、コンサルの年収が高いのは「看板代」が含まれているとも言える。フリーランスとして独立した今、月額100万円台で稼げているのは、コンサル時代のスキルと実績があるからだ。でもそれは「コンサルに在籍し続ける理由」にはならない。

事業会社に向いている人、コンサルに向いている人

自分に合ったキャリアを見極める — 事業会社型とコンサル型の特徴

12年のキャリアで、事業会社タイプとコンサルタイプの両方の同僚を見てきた。ざっくり分けるとこうなる。

事業会社に向いている人

  • ひとつのプロダクトやサービスに愛着を持てる人
  • 「提案」より「実行」にやりがいを感じる人
  • ワークライフバランスを重視する人
  • 社内の人間関係を長期的に築くのが得意な人

コンサルに向いている人

  • 短期間で多くの業界・企業を見たい人
  • 年収を早く上げたい人(20代で1,000万円も可能)
  • 構造化思考やロジカルシンキングが好きな人
  • 「同じことの繰り返し」に耐えられない人
僕自身はどちらかと言えばコンサルタイプだった。でも事業会社での「現場を知っている」経験が、コンサルとして、そしてフリーランスとしての最大の武器になった。どちらが上かではなく、順番と組み合わせの問題だと思っている。

両方を経験して初めてわかったこと

事業会社とコンサルの両方を経て見えたキャリアの全体像

結論として、僕が両方を経験して一番よかったと感じているのは「視座が2つになった」ことだ。

事業会社にいた時は「コンサルは現場を知らない」と思っていた。コンサルに入ったら「事業会社は視野が狭い」と感じることもあった。でも両方を経験すると、どちらの言い分も正しいし、どちらも不完全だとわかる。

この視座の複数性は、フリーランスとして独立した今、最大の差別化要因になっている。提案もできて、実装もできて、現場の気持ちもわかる。こういう人材は市場にほとんどいない。

もしキャリアに迷っているなら、「どっちが正解か」ではなく「どっちを先にやるか」で考えてほしい。事業会社→コンサルの順番でも、コンサル→事業会社でも、両方を経験する価値は確実にある。

コンサルを辞めた後のキャリア5パターンも参考にしてみてほしい。事業会社に戻る道、フリーランスになる道、いろいろな選択肢がある。

大事なのは、自分が「どんな働き方をしたいか」を言語化することだ。それさえ明確になれば、事業会社でもコンサルでも、どちらを選んでも後悔しない。

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Kay

Kay

IT業界12年Big4コンサル出身日英バイリンガル

新卒でメガベンチャーに入社後、ITベンチャー、事業会社のシステム部門を経て、Big4コンサルファームでITコンサルタントとしてチームリーダーを務める。その後フリーランスとして独立し、現在はAI活用コンサルティング・ITコンサルティングを中心に活動。日英バイリンガル。