コンサルを辞めたいと思った瞬間 — Big4を辞めてフリーランスになった僕の話

目次
コンサルを辞めたいと思った最初の瞬間
深夜1時。オフィスの会議室で、僕はパワポのスライドを黙々と直していた。
ふと手が止まった。「これ、前のプロジェクトでも同じようなスライドを作ったな」と思ったからだ。課題整理のフレームワーク、現状分析のチャート、施策一覧のマトリクス。構成もフォントサイズも、ほぼ同じ。
Big4コンサルファームに入って約2年。最初は何もかもが新鮮だった。でも、この夜を境に「またこれか」という感覚が消えなくなった。
僕はこの瞬間、初めて明確に「辞めたい」と思った。
4社を経験して気づいた「看板の重さ」

メガベンチャー時代 — 会社名で仕事が来る
新卒で入った大手IT企業では、マーケティングを担当していた。名刺を出せば「あの会社の方ですか」と相手の態度が変わる。仕事の成果というより、会社のブランドで信頼を得ている感覚があった。
約2.5年で転職したが、この「看板の力」を意識したのはここが最初だった。
ベンチャー・事業会社時代 — 現場を知る
その後、ITベンチャーと飲食チェーンのシステム子会社を経験した。社内SE(社内のシステムエンジニア)として、現場のIT運用に向き合った。
事業会社にいると、コンサルが作った資料をもとに実際にシステムを動かす側になる。「この提案、現場のことわかってないな」と感じることも多かった。この経験が、後にコンサルとしての強みになるとは当時は思っていなかった。
Big4コンサル時代 — 最大の看板
大手コンサルファームに中途で入社した。年収は約700万円でのスタート。ITコンサルタントとして、大企業のDX推進やシステム導入のPJ(プロジェクト)を担当した。
チームリーダーとして複数メンバーを率いる立場にもなった。退職時の年収は約1,000万円。正直、待遇に不満はなかった。
でも、ずっと引っかかっていたことがある。クライアントが僕を信頼してくれるのは、僕の実力なのか、それとも「Big4の○○さん」というブランドなのか。4社を経験してきて、どの会社でも常に「○○社のKay」だった。一度も「Kay個人」として評価された実感がなかった。
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理由1:コンサル業務のルーティン化
冒頭で書いた「また同じスライドを作っている」という感覚。これは一度気づくと、もう元には戻れない。
DD(デューデリジェンス、企業の価値やリスクを調査すること)のフレームワーク、PMO(プロジェクト管理の支援業務)の週次レポート、ステアリングコミッティの資料。型が決まっていて、中身を入れ替えるだけ。もちろん型があるから品質が担保されるのだが、「僕じゃなくてもできるよな」と思う瞬間が増えた。
理由2:会社の看板なしで勝負したかった
これが最大の理由だ。
事業会社からコンサルに転職した時、名刺の力が格段に上がったのを感じた。打ち合わせでの相手の態度が明らかに違う。それが嬉しい反面、怖くもあった。この看板がなくなったら、僕に何が残るのか。
IT業界で約12年。メガベンチャー、事業会社、Big4コンサルファームを経験してきた。でも、自分の名前だけで仕事を取ったことは一度もなかった。
理由3:「辞めどき」は成長が止まった時
コンサルの辞めどきについて考えた記事にも書いたが、成長実感がなくなった時が辞めどきだと僕は思っている。
新しいプロジェクトにアサインされても、3日で全体像が見える。キャッチアップ力が上がったとも言えるが、裏を返せば「もうこの環境で学ぶことが減ってきた」ということだ。
事業会社にいた時も同じタイミングで転職してきた。コンサルだから特別なわけじゃない。キャリアの普遍的な課題だと思う。
コンサルからフリーランスへ — 辞めた後のリアル
最初の案件は知人経由
退職後、まずは知人経由でITコンサルの案件をもらった。Big4の看板はもうない。不安はあったが、「自分の名前で仕事が来た」という事実が純粋に嬉しかった。
正直に言えば、コンサルファームで培った構造化思考、短期間でのキャッチアップ力、資料作成スキルは独立後にそのまま武器になった。会社の看板は捨てたが、スキルは持ち出せる。これは辞めてみて初めて実感したことだ。
意外となんとかなる

独立して約3年。現在は月額100万円台の案件をメインに活動している。ITコンサルだけでなく、エンジニアリング案件や英語を活かした案件にも挑戦している。
事業会社でシステム運用を経験したからこそ、提案だけでなく実装まで対応できる。コンサル出身者の多くは「提案して終わり」だが、僕は手を動かせる。これが独立後の大きな差別化になっている。
「コンサルを辞めても大丈夫なのか」と聞かれることが多い。僕の答えは「意外となんとかなる」だ。むしろ、コンサルで働いていた経験が独立後に最も力を発揮している。
市場価値を知ることから始める
もし今コンサルを辞めたいと感じているなら、まずは自分の市場価値を確認することをおすすめする。転職エージェントに登録するだけでも、自分が外からどう見られているかがわかる。
僕も在職中にエージェントに登録して、市場価値を把握した上で独立を決断した。結果的にフリーランスを選んだが、コンサル出身者向けの転職エージェントを使って選択肢を広げるのは合理的な判断だと思う。
JACリクルートメントのようなハイクラス特化のエージェントであれば、コンサル出身者のキャリアを正しく理解してくれる。転職するかどうかは別として、自分の現在地を知るために使ってみる価値はある。
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僕は4社を経験してきて、毎回「辞めるかどうか」を悩んだ。そして毎回、辞めて正解だった。
ただ、これは「誰でもすぐ辞めるべき」という話ではない。辞めた後にどうするかの選択肢を持っていることが大事だ。コンサルを辞めた後のキャリアパターンは人それぞれで、フリーランスだけが正解じゃない。事業会社に戻る人も、ベンチャーのCxOになる人もいる。
僕がフリーランスを選んだのは、「自分の名前で勝負したい」という動機がはっきりしていたからだ。
会社の看板を捨てるのは怖い。でも、捨ててみたら「意外となんとかなる」し、むしろコンサル時代の経験があるからこそなんとかなっている。
もし今「辞めたい」と感じているなら、それは成長のサインかもしれない。次のステージに進む準備ができている証拠だと、僕は思う。
コンサルを辞めた後の3つの選択肢

僕はフリーランスを選んだが、コンサルを辞めた後の道は他にもある。
選択肢1:事業会社への転職
コンサルで培った構造化思考と資料作成スキルは、事業会社の経営企画やDX推進部門で高く評価される。僕自身、事業会社からコンサルに来た経験があるので、逆方向の転職のリアルも理解している。年収は多少下がるケースが多いが、ワークライフバランスは大きく改善する。
詳しくはコンサルを辞めた後のキャリア5パターンで解説している。
選択肢2:フリーランスとして独立
僕が選んだ道。月額100万円台の案件をメインに、ITコンサルだけでなくエンジニアリングや英語を活かした案件にも挑戦している。
独立1年目のリアルはフリーランスになった1年目の全記録に詳しく書いた。
選択肢3:AI×スキルでキャリアを変える
コンサルのスキルにAIを掛け合わせると、市場価値が大きく変わる。提案だけでなく実装までできるコンサルは非常に少ない。
AIスキルで市場価値がいくら上がるかも参考にしてほしい。
コンサルを辞めた後の選択肢を網羅的に知りたい人は辞めた後のキャリア5パターンを読んでほしい。フリーランスを具体的に検討するならフリーコンサル向けエージェント比較が実践的な情報源になる。
独立後の業務生産性をAIで底上げする方法を実例ベースで知りたい人は、Big4出身フリーランスがClaude Codeで記事改善ループを自動化した話も参考になる。
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Kay
IT業界12年Big4コンサル出身日英バイリンガル新卒でメガベンチャーに入社後、ITベンチャー、事業会社のシステム部門を経て、Big4コンサルファームでITコンサルタントとしてチームリーダーを務める。その後フリーランスとして独立し、現在はAI活用コンサルティング・ITコンサルティングを中心に活動。日英バイリンガル。


